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06日目!エローラ石窟寺院へ!聖者アジャールwithオレ -アウランガーバード- [インド旅行記-アウランガバード-]

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朝、エローラ石窟寺院に到着する。

アジャール先生もご一緒にいかがでせうかとお誘いすると
「私は猿と遊んでいるから気にせず、ゆっくり楽しんでこい」
「仲がイイヤツがいるんだ。」と家から持ってきた残飯を畜生に与えるアジャール先生。

なんというかブッダ(目覚めた者)に近い精神構造である。
こういう人を上司に持ちたかったと、涙を流しながら遺跡に入る。




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ここエローラ石窟寺院は近年、粗製濫造される世界遺産の中でも、
規模、迫力ともにトップクラスの世界遺産である。

言っちゃあなんだが、なんとか銀山みたいに
背景を知らないと凄さがわからない遺跡ではなく、
こういうどうや!すごいやろ!的な自己主張の激しい遺跡は本当に心が踊る。

ただ、それが故に有名な観光スポットとなっており人が非常に多い。
これまであまり見かけなかった日本人もいっぱいいる。

自己紹介でも述べたが、オレは廃墟が好きだ。
理解され難いかもしれないが、
忘れさられた場所でぽつんと一人、空間を独り占めする感覚が好きなのだ。

そういった意味では、少しガッカリしたのも事実である。


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まぁ、そう言いながらも、広い遺跡を端から端まで堪能したのだが。

カメラも向けると「遺跡よりオレを撮らんかい!」と群がるインド人達と
戯れながら時を過ごしていると、
彼らの後ろの方にぽつりと群がりもせず、
しかし少し羨ましそうに、こちらを見つめる僧形の少年がいた。

インド人たちと別れ、その赤い僧衣をまとった少年に近づく。
こんにちはと言うと、
 彼は、緊張した面持ちでコクリとうなずく。

一人で来たの?と聞くと首をゆっくりと横にふる。

そんなインド人にはない自己主張のなさに新鮮さを感じ、
秘密兵器Origamiを手渡すと、それをまじまじと見つめ微笑んだ。

ほっこりとした気分になりこちらも微笑んでいると、
まるで忍びのようにオレの後ろに僧形のおじさんが立っている。

気配、隠しすぎである。

少年はおじさんにヒンズー語とは明らかに抑揚の違う言葉で声をかけた。
たぶんこれもらったんだ、的なことを言ったのであろう。

おじさんもまた弱々しいが笑顔で「アリガトウ」と英語でお礼を返してくる。

おじさんは英語が得意ではないようだ。
それでもゆっくりと話を聞くと、
彼らは亡命チベット人だということがわかった。
今は仏教の聖地をめぐり、修行中とのこと。

このブログには似合わない悲しい話を聞いていると不思議な気持ちになってくる。

オレは金にすがってこのインドで生かされている。
もし家も財産も国をもなくした時、オレは何にすがって生きてゆけばいいのだろう。

思考の袋小路に陥りかけるオレを見かねたのだろう
おじさんは、拙い英語だが
「ダラムサラもうすぐ、特別なお祭りします。あなたクル。トテモうれしい。」
ゆったりと、だがしっかりと語った。

わかりました。検討します。と言うと
あらためて「アリガトウ」とOrigamiの礼を口にし去って行った。

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清廉な時間であった。
まさかインドでこんな時が流れるとは。

・・・ダラムサラか、行ってみようかな。
決意にも満たない想いを胸に遺跡を後にした。
   
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駐車場で猿と戯れるアジャール先生を見つける。
5時間近く猿と戯れていたのだろうか、やはり彼は聖人である。

「さてと、人にも食事は必要だな。」
聖人アジャールはつぶやき、レストランへとオレをいざなう。

さすが聖人アジャールの紹介する店はうまい。
チャパティをパクパク食べる俺に、
聖者アジャールは「これはこう食べるんだ。」とレモン汁を、
小さな玉ねぎにかけナマでかじった。

日本で言うと漬物に近い食べ物だろうか。
カレーの口直しにぴったりだ。

雑談の中で「アフマダーバードに向かった後どうするんだ?」と
アジャールが問いかけてきた。
うーん、砂漠の方に行こうと思ってる。

「というとジャイサルメールか?」
そう、それ。知ってるの?

「ああ、おそらく寒いぞ。
え?マジすか?

「ああ、砂漠の夜は特にな。」
「ここでは冬着なんて売っていないから、どこか別の町で買った方がいい。」
あ、ありがとうございます!

「それにそのストールだ。」と俺がムンバイで買った安物のストールを指さす。
「バスの中も寒いぞ。」
「もう少しいいストールを買って、毛布代わりにすることをすすめる。」
そ、そっかー。

「そこのストール屋は俺の友人が勤めている。」
「マージンが入るというのもあるが、買っていったほうがいいんじゃないか?」
うい!買っていくですとも!


食事を終え、ストール屋に入る。

アジャールがストール屋になにか話している。
「ヘイ、カモ一匹連れてきたぜwマージンよろしくぅ。」

このシチュエーション、彼がアジャールで無ければ、
絶対そう解釈してしまいそうになる。

だが、ほとんど値下げの必要もないほど安い価格で買えたので、
逆のことを言っていたのだろう。
 
 
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《こんな感じでもっと大きなストールを購入》





買い物を終え、リキシャはバス乗り場に着いた。

「あのバスがお前の乗るバスだ。」とアジャールが指差す。

バスの発車までは少し時間があるようだ。

アジャールも忙しいだろう。
ここまでいろいろと、ありがとうと別れの言葉を切り出すと、
少しチャイでも飲んでいくか?とチャイをごちそうしてくれた。

甘すぎるほど甘いチャイを口にしていると
アジャールが
「お前と会えて楽しかった。インドではいろいろと騙されることもあるだろう。
いやな思いをすることもあるだろう。もし、本当に困ったら電話をしてきてくるんだぞ。」
とオレを泣かしにかかる。

オレが女であれば完落ち間違いなしである。

うん、ありがとう・・・オレも本当にあえて良かった・・・
それでさ。お金を払いたんだけど・・・
「忘れてたな。」

忘れるなw400ルピーって言ったよね。
「ああ。」

500ルピー払いたい。
「何故だ?あの時交渉で決まったはずだろう。」

300ルピーは君の娘の分、100ルピーは奥さんの分、
そして残り100ルピーをアジャールに渡したいんだ。
だが・・・」

いや、これが適正な価格だよ。
受け取ってほしい。
子供さん学校でいい成績なんだろ?お金はやっぱり大切だもん。

「本当にいいのか?」
質問には答えず、右手をアジャールに差し出す。

オレの最後の交渉は無事終わった。


バスのエンジン音が聞こえる。

そろそろ行くよ。
「ああ、さよならだ」

後ろを振り向かずにバスに乗り込み、
汚いスリーパー席に横たわる。

やばい、泣きそうだ。

十分ぐらい経っただろうか。
すべての席が埋まり、バスは警笛を鳴らしゆっくりと進み始める。

そうか、アウランガーバードも見納めかと、カーテンを開け外を眺める。

すると、そこにはバスに向かって手を振るアジャールが立っていた。


オレの涙腺が完全決壊したのは言うまでもない。



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《聖者アジャールwithのび太》



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viviriNyoroK28

(≧∇≦)おもしろいです!
実は私もかれこれ、30年くらい前に北インドまさにのびたさんと同じ所をバックパッカーでまわっています。
しかし、それともほとんど変わっていないインドは、すごいです!
去年書かれたものなんですね。
これから、ちょっとずつ読ませていただきます!

by viviriNyoroK28 (2015-10-10 17:19) 

のび太

viviriNyoroK28様
お褒めの言葉ありがとうございます。
あのルートを30年前ですか・・・
それ、ぜったい私の旅行記よりも波乱万丈だったと思いますよw
by のび太 (2015-10-13 18:33) 

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