ギャンギャンワオーン!!!!
俺は路地を駆けていた。
そう、それは小学校以来の全力疾走であった。
それはホテルから出て、人通りのない路地を歩いている時のことだった。
道の端っこで犬がよだれを垂らしている。
インドには確かに野犬が多い。
しかし彼らは日中、暑さを避けるため木陰などで眠っているので、
これまでトラブルになることはなかった。
だが、このよだれ犬は、グルルル・・・と不気味な声を鳴らしオレを威嚇してくるではないか。
こんなアグレッシブなワンちゃんは生まれて初めてである。
オレは意を決し、犬を睨みつけると、距離をおきながらやり過ごそうとした。
しかし、それは犬とオレとの距離が最短になった瞬間に起こった。
ガウガウガウ!!!
オレに向かって、よだれ犬が飛びかかってくる!?
ひいいいいいっ!!!???
情けない声をあげながらも、
奇跡の瞬発力で犬を避けたと同時にオレは一目散に駆け出していた。
だが残念ながら、犬というものには逃げるものを追いかける。
そんなイジメっ子的な習性がある。
最悪なことに、この路地には人っ子一人いない。
オレとよだれ犬とのデッドヒートが始まりだ!!!
「芋引いたヤツが負けるんじゃあ!」と高校時代、
とっぽい友人が言っていたが、こんなん芋引かんと負けるに決まってるだろうが!
逃げるが勝ちじゃあああああああ!!!
200mほど全力疾走をすると、大通りが見えてくる。
そこまで行けば!他の知らない誰かが!噛まれてくれるかもしれない!
人間として間違っている?オレは自分が可愛いんだよ!
すまん!インド人!俺の代わりに犠牲になってくれや!
必死の形相で大通りに駆け込むオレ。
大通りは阿鼻叫喚となるかと思ったが、
代わりに聞こえたてきたのは、つんざくほどのインド人達の笑い声である。
な、なんでや!
するとオレの有様を見かねたのか、
タバコ屋のおばちゃんが悠然とよだれ犬の前に立ちはだかり
「キュエエエ!!!!」と気合を発すると、
犬はキャインキャイーンと逃げていってしまった。
お、おばちゃん!格が違うぜ!!
どうだい?とばかりにニコニコするおばちゃんから、
タバコをふた箱、お布施に買っていったのは言うまでもない。
《犬はどこにでもいる》
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2014-04-14 10:33
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