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30日目!中編 インド家庭の晩餐会 -カジュラホ- [インド旅行記-カジュラホ-]

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-前回のあらすじ-

いきなりの夜のお誘いに困惑するのび太であったが・・・


ど、どういうことっすか?
「いや、ボスが自宅に招待したいんだって。」

な、なんでや?
「そりゃ、迷惑かけたとか思ってるんじゃないか?」
「オレもこんなの初めてだし、よくわからん。」

そっか・・・じゃあ行きます・・・
というか断れないっす・・・
(Killこわい・・・)

そういえば、他の客とかは呼ばないの?
「ああ、今、何人か白人が泊まってるんだけど、誘ってみよっか?」

ボスがイヤじゃなければ、是非。
「そうだな、客は多いほうがいいもんな。」
「ボスに相談しておくから、六時にはロビーに降りてこいよ。」
はあい、わかりましたー。

(killこわい、killこわい・・・)



インド車.jpg

夕方、ロビーでだらだらしてるとサンディの呼ぶ声が聞こえた。

「のび太!こっちだぞー!」
ホテルに横付けされたセダンの前でサンディが手を降っている。

サンディのセダンに近寄ると
車の中で白人カップルがキャッキャウフフと楽しそうに話をしていた。

そういったキャッキャウフフを許さないひとりぼっちのオレは、
ドアを開けるや紳士的に挨拶で割り込み、会話を遮った。

二人はミハエルアーニャと名乗った。
ロシア人だそうだ。

なんでも、ハネムーンで世界を旅しており
つい先日まで、ネパールでヒマラヤ登頂に挑戦していたらしい。

へえ、すごいね。どうだったの?と水を向けると
よほどよかったのか「本当にすごいのよ!あなたも絶対行った方がいいわ!」と
アーニャは目を輝かせ、ヒマラヤの美しさを語りはじめた。

そうか。行ってみたいけど、ネパールは遠いなぁ・・・
そう嘆息混じりにつぶやくと
「インドならラダックやダラムサラからも、ヒマラヤは見えるよ。」
とミハイルまで、ヒマラヤをすかさず押してくる。

ヒマラヤ熱に浮かされた二人の話と、見事な写真を見ていると
オレの胸にむくりむくりと音を立てヒマラヤへの思いが膨れ上がる。

ヒマラヤ
《ヒマラヤの写真は本当にすごかった。》

ヒマラヤか・・・少し考えてみよう。
そう、時間はたっぷりとあるのだ。




ボスの家につくと、相変わらずの仏頂面でボスが出迎えてくれた。

ボスの妻や孫達がよく来たねと、食事を用意してくれていた。
出てくる料理は素材がいいのか全てが美味しかった。
とくに米が美味しい。


カジュラホ晩餐会
《晩餐会の様子》

食事も終わり、みんなで雑談を楽しんでいると、
中間管理職サンディが余興としてシタールを鳴らしインド民謡を歌い始める。

なんとも芸達者な男である。

しかし、手拍子の中、歌いながらも、
サンディの目は「お前わかってるだろうな?」と何かを期待する視線をオレに向けてくる。

ええ・・・わかっていますとも・・・サンディさん!

オレも日本では同じ中間管理職であった。
彼の気持は痛いほどわかる。
それに世界のどこでも宴会なぞ同じである。
下っ端は恥を捨て、盛り上げねばならんのである。

島唄










いろいろ考えた末、オレはTHE BOOMの島唄を歌うことにした。

日本らしい曲といえば「さくらさくら」や「君が代」だろうが、
いかんせんメロディが暗く陽気な場にはそぐわない。
それに沖縄民謡ではあるが、どうせ気付かんだろう。

しまうーたよーかぜにーのりー♪

酒も入っていないのに踊りながら歌うオレ。

あまり聞きなれない異国の音階にも関わらず、
サンディは見事にシタールで伴奏をこなす。
ロシアンやこども達も手拍子でそれに答える。

オレとサンディのセッションは盛大な拍手の中で終わった。

サンディにどうよ?
と視線を渡すと
おkです!と視線を返される。

ミハイルはいたく感動したようで
これはどういう歌なんだ?と聞いてくるので、
戦争で島に残されて全滅した村人の歌だよ。と適当に説明した。


すると、今まで石像のように動き一つ見せなかったボスことヤージが
唐突に「それは日露戦争か?」と問うてきた。

いいえ、WWⅡ(第二次世界大戦)の話であります!とキョドリながら返すと

ヤージは「そうか。」と頷き、こっちへ来いと手招きをする。
どうも、なにかのスイッチに触れたようだ。

ミハイルと一緒にヤージの前に座る。

そしてオレ達に「オマエ達は、日露戦争を知っているのか?」と聞いてくる。
冗談じゃない。オレもミハイルも当事国の子孫である。
知らないわけがないではないか。

もちろんであります。ミハイルもよく知っているであります。と言うと
ミハイルも当然だと大きく頷く。

「そうか・・・オマエはロシア人だったな。
日露戦争の話をしたいのだが、ソレはオマエ達にとって失礼に値しないか?」と
予想外に優しい表情で問うてくる。

ミハイルは非常に興味がある、と少年のような目になってヤージを見つめる。
オレはこの強面の老人がいきなり話をしたがっている事に驚きつつも、彼の言葉を待った。




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