45日目！前編 最後のインド旅行 -ニューデリー-

 
《この旅も終わりが近づく》

早朝しずかちゃんから、「デリーに無事着いたよ！」と連絡がきた。
バスではゆっくり眠れなかったので宿で朝寝をした後、
最後のインド遊びに行こうと言うのだ。

ちなみに飛行機は深夜12時の便である。
今日一日ゆっくり楽しむ時間はあるだろう。

わーい！ボク大賛成！！簡単なメールを送りオレもついでに朝寝タイム。
日本に帰ったら苦労しそうだ･･･



十二時メインバザールのカフェでしずかちゃんと会う。

さて何をしようかと、雑談交じりに会話していると

「じゃあさ、ちょっと美味しいカレーでも食べに行かない？」と
しずかちゃんは提案してきた。

え、カレーなんてどこでも一緒でしょ？

「ふう、バカ舌はこれだから･･･まぁ来なさいよ」
しずかちゃんは呆れた口調でそう言うと
オレをいざない、メトロでコンノートプレイスに向かった。

コンノートプレイスは正直ただのショッピングモールにしか見えず、
昔に読んだ深夜特急のようなカオスとは無縁の場所に成り下がっていた。

ただ、高級なレストランも多そうなので、
そういうところで食べるつもりかな？と思っていると

しずかちゃんはコンノートプレイスなど見向きもせずに
路地へ路地へと突き進んだ。

「ここよ。」
そう紹介されたレストランは食堂といった感じの小さな店だ。
つーか、よく知ってたな･･･こんな場所･･･

隅っこでゴキブリ君が疾走するガチャガチャと
騒がしい店で、オレはしずかちゃんに尋ねた。

そういえばさ、どらえもんどうなったの？

「うーん」と言いにくそうにしずかちゃんは唸る。

「なんかね、ラダックっていうもっと北の方に行っちゃったんだ。」
「そこからネパールに入るって言ってて･･･
私も調べたんだけど、そんなルートみつからないのよね･･･」
そうなの？

「うん、なんか地元のインド人に聞いたから間違いない！ていうんだけどさ。」
ああ･･･絶対、そのインド人が適当に言ってるそうだよな･･･

「うん。だから止めたんだだけど、言うこと聞いてくれなかった。」
そっか･･･

「どらえもん、飛行機の便、遅らせたって言ってたから･･･

あああああああ！！！！

「の、のび太くん！？なに突然！？どうしたの？」
あいつ、ビザとかどうなってるんだ！？

はっと気づいたように、しずかちゃんが青ざめる。
「そ、そういえば･･･どらえもん、たしかタイでアライバルビザとって･･･」
「旅行の日程通りで申請したとか言ってたよね！」

だ、だよな･･･ってことはビザ今日までってことじゃん。
アイツ元々オレ達と一緒の飛行機乗るつもりだったろ？
ま、まずくない･･･？

「い、一応電話しておこうよ。」

おうと、電話を鳴らすが繋がらない。
仕方なくメールを送ると、その返事の代わりにカレーがやってきた。

「ま･･･まぁ食べましょうよ。ね？」と落ち着けるように言うが
しずかちゃん自身が一番心配そうな顔だ。

そうだね･･･。とオレはカレーを口に入れる。

え？おいしい！
日本向けのカレーとは違うが、すごく美味しい。
今までインドで食ってきたカレーは何だったんだ！？

おいしいな！これ！と言うと
しずかちゃんは「でしょ？」としてやったりの顔である。

この小娘、デリーで沈没してただけあって、
マジでいい店を知ってやがる。

会話を忘れ一気に流し込むように食べ、
あっという間に皿は空っぽになった。

いやぁ舌は大満足･･･腹も満杯だ。最高！！

食べ終わったしずかちゃんと
ここのカレーを褒めあっていると、ドラえもんからメールが届いた。

みせて！としずかちゃんが画面を覗き込む。

『ビザ？昨日気づいたっちゃ！でもなんとなるっちゃ！心配するな！はははｗ』

力強いのかなんなのか
不思議な自信に満ちたメールの内容だな、おい･･･

しずかちゃんも呆れたような顔で
「馬鹿らしい。心配する必要なかったね？」と本音をもらす。

オレもまったく同じ意見である。

どらえもんはオレ達知らない、わけのわからぬ大冒険に出た。
もうそれでいい。

＊脚注　結局ドラえもんはラダックからネパールに渡ることは出来ず、
デリーに戻り飛行機でネパールに向かったそうです。
ビザ切れオーバーステイという犯罪者となり

罰金という名の延滞金を払って。

いい冒険してんじゃんｗねぇ？

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タグ：インドでの日常（普通の話）