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33日目!後編 インドde自宅訪問 -カジュラホ- [インド旅行記-カジュラホ-]

やる気ゼロ2.jpg

-前回のあらすじ-

訳のわからぬ騒動に巻き込まれのび太は
部屋でふて寝をしていたのだが・・・

knock.jpg

トントン・・・
部屋のドアが静かに叩かれる。

サンディかな?とドアを開けると
モップを持った若いホテルマンがそこに立っていた。
「あの・・・部屋の掃除をさせてくれませんか?」
うん、どうぞ。オレ、ベッドの上に座ってるから。

よく見ると昨日ヤージに叱られていた若いホテルマンだった。
黙々と掃除をする姿をボケーと見ていると
「あの・・・災難でしたね・・・」とオレに話しかけてきた。

なぜ知っている?と笑いながら聞くと
「サンディさんが・・・」とはにかんだ表情を浮かべる。

まぁたいしたことないよ。サンディに助けてもらったしね。と返すと
彼は「あの、今日のご予定は・・・?」と聞いてきた。

ない!

即答するオレ。
今日はトラブルがあって、やる気ゼロというのもあるが
なにより、この村の名所は巡っちゃったし
もうこれって沈没ってやつじゃね?というくらいする事がないのだ。

すると、その即答を聞いた彼は早口で
「あの、オレ今日はお昼であがるんです。」
「それで、あの、もしよければオレの家で食事でもどうかなって思って。」
と一気にまくしたてた。

初々しくて微笑ましいなぁと思う。
そして、それを断る理由などない。

いく!

と即答するオレ。

彼は安堵した表情で「じゃ、じゃあ!あの・・・下で待ってますから!」とドアの向こうに去って行った。

オレは追いかけるように外に出て
雑貨屋で菓子を買い込みロビーで彼を待った。




オムと名乗った若いホテルマンはバイクで通勤しており
ここから二十分ほどで自宅に戻れるらしい。

彼のバイクを見るとヴェスパであった。
しかも、初期の一番可愛いやつである。

Old_Vespa.jpg
《少し違うけど、こんな感じです。》

すげーな!オム!これめっちゃかっこいい!!!

興奮したオレは彼にまくし立てた。
いやーオレもヴェスパ持ってるんだけど、250ccの新型でさー。
日本じゃ旧型ってなかなか見れないんだよね。
おーー!前照灯もかっこいいな!

はしゃぐオレにオムは「乗ってみます?」と問うてきた。

いやいや!これは君の大事なバイクだろ!
いやいや!オレが乗る訳にはいかないよ!
いやいやいやいや!

そんな言葉とは裏腹にすでにオレはシートにまたがりハンドルを握っていた。
苦笑するオムを後ろに乗せ、セルを始動させる。
死にかけたエンジンがズンズンと振動する。

疾走.JPG

一速、二速とギアをチェンジする。
ああ、レスポンスが悪い!だがそこがステキ!!
田園地帯を横目に一本道をヴェスパで疾走するオレたち。
ヘルメットもかぶらず乗るバイクは、本当に風が気持ちいい。

オムがあの峠いいっすよ?などと言うもんだから
結局、彼の家には昼をだいぶ過ぎて着いてしまった。



彼の家は田園の中に立つ小さな家だった。


門番のように幼い子供が椅子に座っていた。

このちいさな門番さんに通行税としてバックから出した菓子をあげると
嬉しそうな顔ですぐに封を開け食べ始めた。

門番さん.JPG


彼の母親が、オレたちに食事を出してくれた。
ヤージの家の豪勢な食事と比べると見劣りするのは否めない。

だが、それはどこか懐かしい味のする手料理だった。

一度手を付けると手がとまらない。

まぁもう少しいるからしら?と彼の母親が言う。

遠慮など、この旅の何処かで置いてきたオレは、
子犬のように尻尾を振り、お願いします!と空っぽの皿をつき出した。
 
ねる.JPG

その後、オムと家の中で、ゴロゴロしながらバイクの話をしたり
オムの弟を追い掛け回したり
家の屋上から静かな田園風景を眺めたりしていると、あっという間に時間は過ぎた。

ジャンプ.JPG
《空中浮遊》

太陽が傾き、そろそろ退去しようとオムの家族に挨拶する。
すると母親が、コレをホテルで食べて?と
ラップに包んだ料理を差し出してくる。

オムはなんだかバツの悪そうな顔をしている。

ああ・・・なんか気持ちはわかる。
若い彼にとっては、母親が土産ともいえないソレを
外国人に渡すのが恥ずかしいのだろう。

オレにとってはよっしゃー!一食浮いたで!という気持ちなのだが・・・

オレは母親からそれを受け取り、
ありがとうという言葉をあきるほど何度も告げた。


暗くなったホテルの前で降ろしてもらい
オレは些少だがと100ルピーを彼に渡そうとした。

だが予想はしていたが、なかなか受け取ろうとしない。
ガソリン代だからと理由をつけるとようやく受け取ってくれた。


別れ際、昼食すごく美味しかった、夕食も楽しみだと
見せびらかすように彼の母親の手料理の入った袋を指差すと
ようやく彼の顔に笑顔が戻る。

オムはバイクにまたがり、来た道を引き返す。

お母さんによろしく!ありがとう!
オレは去っていくヴェスパめがけて大きな声で叫んだ。

遠ざかるヴェスパのブレーキランプが二度点滅する。

オムの返事が聞こえた気がした。



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