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04日目!後編 良きリキシャマンとの出会い -アウランガーバード- [インド旅行記-アウランガバード-]

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さて拠点を見つけたことだしメシでも食おうかと、
ホテルの外に出ると、ひげもじゃのリキシャマンが静かに立ち
オレに話しかけた。


「今からエローラに行くのか?」
そんなバカなw
今日はこの街で過ごして、明後日にでも行くつもりなんだ。

「そうだろうな、もしよかったらだが後日でも私に運転させてくれないか?」
いいけど。いくら?

「そうだな、1000ルピーでどうだね?」

クッ!礼儀正しくふっかけてきやがったな・・・
ま、まけないよ!でも相場わからん(T_T)

い、いやぁ、ここの宿200ルピーだよ。いくらなんでも高すぎると思うんだけど。

「ふふ、そうか。今日街で過ごすと言ったが、何をするつもりだ?」
うーん、アフラマバードへのバスのチケットを買うつもりなんだけど。

「わかった。そこまで連れて行こう。」
「心配しなくても旅行代理店ではなく、親戚が勤めるバス会社だ。」
「バス会社も競合が多くてね。」
「すぐ近くだし、連れて行くだけで私にはお金が入るので心配はいらない。」
「その後でエローラの価格交渉をしてみてはどうだろう。」

うーん・・・そっか、まぁただならいいかな。
いいよ。行こうか。

普通なら怪しい話だなと感じるが、彼のインド人らしからぬ穏やかな口調に、
騙されてもいいかと思いはじめるオレがいた。

「ここだ。」

確かにバス会社は近くだった。
もし万が一があっても歩いて帰れる距離である。

「もし私が嘘を付いていると思うなら、
隣に別のバス会社があるので価格を確かめてみてはどうだ。」

いやいいよ。おっさんは騙すつもりないんだろ?と、
どことなく牛に似たおっさんの眼を見る。

まごころにはまごころで会話せよである。

「おっさんじゃない、アジャールだ。」と右手を差し出される。
オレの心は思ったより腐っていなかったようだ。


そしてバス会社でチケットを買うと
驚いたことに、地球の歩き方プライスより安い値段で買えてしまった。

ラッキー―!!!


*脚注 地球の歩き方は良い本です。
しかしながら物価に関してはチグハグなことが多々あります。

「買えたか?」と微笑むアジャールを見て
ああ、ありがとうと微笑み返すオレがいた。

あのさぁ、もしよかったらそこで昼食でも取らないか?
オレがおごるよ。というとアジャールは「何故だ?」という。

受けた恩はすぐ返さないと、交渉にならないだろ?と伝えると
アジャールは破顔し「1000ルピーじゃダメだってことだな」と笑った。

ふっ、ビジネスをわかってるじゃねぇか。

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カレーを食いながらアジャールの話を聞くとなんでも幼い娘が三人いるらしい。
本当に可愛いがっているのだろう、写真を見せる彼の顔は父親のそれに変わっていた。

本当に嬉しそうだったので、ここで秘密兵器Origami「鶴3羽」を投入する。

「これは鳥か?」
うん。娘さんにあげてよ。しょうもないもんだけどさ。

「いや、これはすごいな。本当にもらっていいのか?」
うん、いいよ。娘さん喜んでくれるかな。

「ああ、一日中この話でもちきりになりそうだ。」

じゃあ値段の話をしようか。とチャイが来たタイミングで切り出すオレ。
「ああ、だが交渉する必要はもうないんじゃないか?」とアジャールは答える。
というと?

「400ルピーだ。」
「悪いがエローラは遠いし、見学中、私は外で半日待つことになる。これ以上安くはできない」
「その代わり、明日はタダで城に連れて行こう。そして明後日、エローラに行く。どうだ?」


はっきりいうと破格すぎる条件である。
確かに交渉の余地などない。

がっちり握手をかわし、彼の明日の予定を聞くと、
他の観光客を午前中エローラに連れていく予定らしい。

つまりそれが終わり街に帰ってきた後に、
オレを城に連れて行ってくれるのというのだ。

「帰ってくる時間がわかれば、お前を待たせずに済むんだがなw」と笑う彼に携帯をみせつける。

えへへー持ってるんだ。
昨日SIM買って電話番号これだよ。

「じゃあ、ワンコールするから登録しておいてくれ」と、
アジャールは携帯を耳にすると見るとすぐさま不審気な顔になり、
「おい、のび太!ちょっと携帯見せろ!」とオレの携帯を強奪する。

なっ、アジャール!オレを裏切るのか!そう叫びそうになるが、
もちろんそうではなく、代わりに彼の口からはイヤな言葉が飛び出してきた。

「のび太、この携帯のSIM、死んでるぞ。」

はぁああああああああ??

いやSIM昨日買ったばっかりだし、電話もほとんどしてないよ!なんで!?

「たぶんな、登録にミスがあったんだ。」
へ?

「登録情報にアドレスと電話番号ってあっただろ?」
うん。日本の住所、書いたよ。

「airtelは両方インドじゃなきゃダメなんだ。」
えええええええ?そんな馬鹿な。

「ひどいやつだ。そんなことも知らせず売りやがったのか」とつぶやいたかと思うと
「のび太、きなさい」と困惑するオレをオートリキシャに乗せた。

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アジャールはairtelショップに着くと、店員に事情をたんたんと説明する。
30分ぐらい経っただろうかアジャールはオレの方に戻り
「のび太残念だが、この携帯は使えない。」とオレに携帯を手渡す。

そ、そうなんだ・・・
がっくりするオレを見て
「明日から使えるけどな」と付け加えるアジャール先生。

まじですか?
「ああ、まじだ。」

や、やったぁあ!いや、ありがとうございます。
30分も交渉してくれて・・・

少ないけどこれを受け取ってくれないか?と
100ルピーを渡そうとするオレに
「カネはいらない。恩はすぐに返せ・・・だろ?」と
折り鶴をひらひらさせながらアジャールは微笑んだ。


images.jpg
ア、アジャールさぁああああん!!!!

アジャール先生の人間的魅力をまざまざと魅せつけられたオレはホテルで、
昨日とは全く質の違う涙を拭くために、
日本からもってきたトイレットペーパーを使い果たすのであった。


*脚注 運子を手を拭くなんて考えられないとトイレットペーパーを持っていきましたが、こういう事情で使えませんでした。
ウォシュレットなんだと暗示をかけて左手を使いましょう。

*脚注 現地人パワーでなんとかして頂いたので、携帯が使えなかった本当の理由は結局わかりませんでした。
なんか店員がテロがどうたら言ってたのは覚えています。



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cyana

はじめまして!
日記すごく面白いです。
私も2012と2013にインドを旅して魅力にとりこになりました。インドブログ見ると行きたくなっちゃうのでしばらく見ないよう封印していたのですが、ふとのび太さんの日記を見つけてしまいやっぱりインドに行きたくなってしまいました笑

現地の人とこんなに溶け込めて愛されるなんてとてもいい経験をされたんですね。
いい人もいれば悪い人もたくさんいてでもなんだか憎めない。インドへ行ったときの感情を思い出しました。

ジョードプルジャイサルメールはまだいけてないので近いうちにいってみようと思います。
もうすぐ読み終わってしまうので寂しいですが、楽しい日記をありがとうございます。

長くなりすみませんでした。
by cyana (2014-10-24 13:39) 

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